今話題の槇原敬之の音楽について、ここいらで語っておく。
槇原敬之氏は元々自作曲を一人沢山作っていたような男で、本物の“クリエイター気質”を持ったクリエイタータイプの人だ。坂本龍一のラジオ番組にそのデモテープを送って認められたりしたのがキャリアの初めだったと思う。

その後、「どんなときも」が大ヒットして、そういう、何というか、甘っちょろいというか日本の当時の“歌謡曲”を歌う人、元気ソング、応援ソング、青臭い都会の恋の歌等を歌う人…という認識が世間一般にあったと思うけれど…、実はその後出されるいくつかの曲について、コアな音楽ファンはこの槇原敬之に一般層とはちょっと違った意味で一目置いていたようなところがあったと思う。
(ちなみに、「どんなときも」が主題歌になった「就職戦線異状なし」というフジテレビの映画が意外と面白いです。バブル時代の、フジテレビが一番調子が良かった時期の就活生のドラマで、今見ると本当に時代が違って面白い。意外と良い映画…。)
それは、まず、槇原敬之が『ver.1.0E LOVE LETTER FROM THE DIGITAL COWBOY』という全曲英詞のアルバムを出したこと。このアルバムが凄すぎた。このアルバムはマッキーが「日本人が日本で完全な“洋楽”を作る!」というコンセプトで作ったもので、このアルバムを聴けばその意味が分かる。日本人が日本語のメロディーで作った曲の歌詞を英語にしてもそれは本当の洋楽ではない!という意味が分かる。(この辺の事についてはこれまでにもこのサイトで少し語ってきたことではあるけれど、この記事と、次回、宇多田ヒカルの記事でも更に詳しく取り上げるつもりだ。)
そしてこのアルバムはそれまでのマッキーの曲と違って非常に先鋭的なエレクトロサウンドだったことも、コアな音楽ファン(要するに僕)にとってこの人を、「実は世間で言われているような単なる頑張れソングを歌う日本の歌手」…ではなく、本物のミュージシャンでありクリエイターであると思わせるに至ったのである。(ちなみに、このアルバムジャケットやPVなどは、当時ビョークのアルバムジャケットを手掛けてその世界では注目されていたイギリスのデザイン集団Me Companyが制作したことも、このアルバムが「タダモノじゃない感」を醸し出すのに一役買っていた。)

しかしそのすぐ後、覚せい剤で逮捕されることになる。
この時、同棲した男性が居たことから、同性愛者であることも明るみになり、世間的な評判・評価はかなり下がってしまったと思うけど、元々洋楽が好きで洋楽をたくさん聞いてきたようなコアな音楽ファンにとって、「とあるミュージシャンが実は麻薬をやっていてしかもゲイでした!」なんて、よくあることじゃん!と、こう言ってはナンだが更に槇原敬之が本物であるという認識に拍車をかけることになったほどである。

ちなみに、僕自身が一番好きなマッキーの曲は「ハングリー・スパイダー」だけど、この曲のPVは何故か非常に厳しく管理されており、YouTubeに無かったり、UPされてもすぐに消されてしまったりするのでここでは紹介できない。なので以下に、槇原敬之が如何に本物の天才なのか?という事が分かる、その英語の曲を二つ紹介しておく。
「ヘイ!お前のカウボーイを見せてみろ!」とか、
その歌詞のセンスというか言い回しからして洋楽なのが凄い。

本当にこの人は天才なのです。早く改心してまた音楽活動をしてくれることを切に願っております。

槇原敬之 - COWBOY




SECRET HEAVEN


ver.1.0E LOVE LETTER FROM THE DIGITAL COWBOY
槇原敬之
ダブリューイーエー・ジャパン
1998-11-26


次世代ミュージシャンのためのセルフマネージメント・バイブル ~自分を作る・売る・守る!!!!